
江戸時代の著名な小説家、滝沢馬琴の「羇旅漫録」に、「京によきもの三つ、女子、加茂川の水、神社」という一節があります。
実際、京都に住むおばあちゃんたちのお肌のきれいなこと、きれいなこと。
大阪出身である私は、京都で生まれ育ったおばあちゃんたちに何度か「どうして、そんなにお肌がきれいなんですか?」と聞いたことがあります。返ってくる答えはだいたい一緒で、
「なんもしてへん(何もしてない)」
京都は盆地のため、寒暖の差が激しく、お肌には過酷な条件がそろっているところなのですが、おばあちゃんたちのお肌は本当にツルツル。ちなみに、ここでいうおばあちゃんは80歳以上(!)のご婦人のことです。
京都にきて10年以上がたち、なぜ彼女たちのお肌がきれいなのかがだんだんとわかってきました。京都では、漢方薬が日常生活に深く密着していて、年配の方はたいがい漢方薬を常備していたり愛用しています。うがいは、塩や緑茶で。さらに、化粧品も日本から古くある伝統的な素材で作られたものが好まれます。私が勤務する店舗では、へちま化粧水や石けんは高齢の方々に大人気でした。
それでいて、彼女たちは「あたらしもの好き」で流行にも敏感。
私たちの商品である「京のすっぴんさん ナチュラル素肌色クリーム」を初めて店頭で販売した時は、80歳前後のおばあちゃんたちがすぐにサンプルを購入していました。
昔から受け継がれてきた伝統や知恵を守りつつ、新しいものも取り入れて常に自分流にアレンジしたスキンケアをする彼女たちは、私にとって素晴らしいお手本です。
そういえば、「京のすっぴんさん ナチュラル素肌色クリーム」を購入の際、おばあちゃんたちに必ず聞かれることがありました。
それは、「原材料は天然のものなのか」「保湿はしっかりしてくれるか」「日焼け止め効果はあるか」の3つです。
おばあちゃんたちは、化粧品の原材料に敏感です。
次に、保湿。しっかり保湿してくれるかどうかも、必ず確認してきます。
そして、日焼け止め効果。いくつになっても、紫外線防止スキンケアは欠かせないということがよくわかりました。
彼女たちと話したり観察したりしてわかったことは、彼女たちの言う「なんもしてへん」とは、「特別なことは何もしていない」、つまり「シンプルスキンケア」の意味だったということ。いくつになっても、「洗顔」「保湿」「紫外線防止」は毎日しっかりしているということ。
ちなみに、シンプルスキンケアといっても、おばあちゃんたちのシンプルスキンケアは極上なんですよ。
京都には、「始末する」という言葉があるように、京都人の気質に無駄を嫌う合理主義という考えがあります。京都の人は、無駄を省き必要最小限に済ますため、決して見栄えで選ぶことなどせず、実用的で確かなものを見極め、良いものだけを取捨選択します。
経験豊富なおばあちゃんたちなら尚更です。彼女たちは商品を選ぶときに、しっかりと品定めをしています。「原材料」にこだわりしっかり内容を確かめてからサンプルを購入し、そしてその商品の「使用感」「使いやすさ」を実際に使用し、厳しい選択眼をもって判断しています。
シンプルに済ますからこそ、「原料」「使用感」「使いやすさ」にこだわらないとすべてのスキンケアが台無しになる、ということを彼女たちは経験的によくわかっているのです。
おばあちゃんたちは、当たり前のように「無駄のない効率的なシンプルスキンケア」を実行しているのでした。
それともう一つ、おばあちゃんたちにスキンケアのゴールはないということ。いくつになっても、「肌は育つ、育てることができる」ということを彼女たちが証明しくれています。
おばあちゃんたちは、昔ながらの伝統素材や吟味されたシンプルケアによってきれいなすっぴん素肌をつくりあげてきました。
私たちは、それをヒントにして積極的に伝統素材を取り入れる商品作りに取り組んでいます。また、私たちの提唱する「すっぴんメソッド」も彼女たちのシンプルスキンケアをお手本にしています。
いつまでも、一生、すっぴん素肌で輝やき続けるお手伝いをできることが、私たちの喜びであり、やりがいでもあるのです。
京のすっぴんさんとともに歩むすべての人々の肌が美しさで輝き続けるように、私たちは日々精進し貢献していきます。
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